マルチビーズショッカーがプロテオーム研究に実績!! 特集1 バイオマーカー探索 プロテオーム研究を成功させる資料調整と解析法バイオテクノロジージャーナル(羊土社)に掲載されました。 著所:国立がんセンター 近藤格(ただし)
★下記マルチビーズショッカー®紹介文の抜粋
凍結状態の試料からの試料調整
 液体窒素で凍結された検体を凍ったまま粉末状にまで破砕し、細胞がばらばらになったところに一気に可溶化液を加える方法がある。このような細胞破砕の方法として古典的には乳鉢が用いられてきた。検体数が少ないとき、検体がある程度大きいときは液体窒素で凍らせた乳鉢で十分対応できるし、試料の質も良い。しかし、100検体を1日か2日で処理したいという場合には乳鉢では対応できない。またごく微小な検体は乳鉢で磨っている間にどこかにいってしまう。多検体を短時間で破砕するには、安井器械から販売されている「マルチビーズショッカー®」が良い(図1)。この機械では液体窒素で凍らせておいた強度の高いスクリューキャップチューブに、同様に液体窒素で凍らせておいた検体とステンレスビーズを入れ、マルチビーズショッカー®の中で高速で振り回すことで検体を破砕する。処理するのは短時間なので温度が上がることはない。この方法では組織は小麦粉状にまでさらさらに破砕される。破砕された検体は、DNAやRNA抽出用に、やはり液体窒素で冷やしておいたスパーテルで粉末状のまま小分けすることもできる。
  この方法では高品質のタンパク質だけでなく、GeneChip解析に耐えうる品質のRNAも一度に数10検体安定して抽出できることを確認している。未確認だが、経験的にRLGS(Restriction Landmark Genomic Scaning)用のDNA抽出にも適しているのではないかと考えている。
液体窒素で凍結された検体がパウダー状になったイメージサンプル
近藤ただし写真
近藤 格
(Tadashi Kondo)
国立ガンセンター研究所、プロテオーム・バイオインフォマティクス・プロジェクト、プロジェクトリーダー。
蛋白質の網羅的解析によって癌の病態の背景にあるメカニズムを解析すること、癌の治療成績を向上させることが研究目標である。国立ガンセンター研究所の恵まれた環境を活かし、海外の一流ラボに勝てる成果を目指して日々奮闘中である。
参考文献:(近藤 格)プロテオーム研究を成功させる試料調整と解析法,「二次元電気泳動と質量分析のための組織試料の調整法」“バイオテクノロジージャーナル”,Vol.3-4,p153−156,羊土社,2006
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